点滴の頻度ですが、治療をはじめる時点では週に2回が標準です。抗がん剤や放射線治療と併用される方に対しても、あるいはこの治療法を単独でされる方に対しても、同じ回数で点滴治療を行います。
がんの腫瘍が完全に消失したという段階になったら、半年ほどは週1回の治療を続けます。その後は、半年あるいは3カ月ほど、2週間に1回、その次の段階では月に1回、といったように、だんだん頻度を減らしていきます。
治療の期間については、個々の症例によって変わります。現在、当クリニックで治療を最も長く受けている方で約2年です。その方は現在、腫瘍が完全に消失したという状態で、月1回の点滴を受けています。
なお、高濃度ビタミンC点滴療法を受ける方全員が治るわけではありません。症状や状態によっても異なってきます。詳しくは、「高濃度ビタミンC点滴療法:具体的な効果と臨床例」ページをご確認ください。
抗がん剤や放射線治療の副作用で吐き気がして食事がとれなかったり、全身状態が低下していたりする方は、2回か3回点滴を受けるだけでも、かなり状態は変わります。元気が出てきますし、合併症の予防にも役立ちます。その意味では、2〜3週間で効果が出るといってよいでしょう。
がん細胞を死滅させるという抗腫瘍効果に限定してしまうと、明確にいつごろから効果があるということができません。ケースによって変わりますし、抗がん剤や放射線治療と併用している場合には、それらが効いている可能性があります。ただ、ビタミンCの血中濃度が400mg/dlに達すると、強い抗腫瘍効果が発揮されることが研究によりわかっています。したがって、点滴によってそのレベルまで上げれば、がんを治す効果が出始める可能性が高くなるといえます。
当クリニックでは、悪性リンパ腫と肺の非小細胞がんで腫瘍が完全に消失した例があります。リンパ腫や腎臓がんに効果が高いという報告がありますが、まだ確定的なものではありません。逆に言うと、すべてのがんに対して可能性があります。
ビタミンCの量によって、点滴時間は変わります。たいていは、1〜2時間です。
1回の点滴が19,000円(税別)です。
当クリニックでは、受付時間の10:00〜16:30(木曜日は夜間診療のため、19:30まで)です。
むしろ、併用することで効果が高まります。抗がん剤の効果を妨げることはなく、既存の治療の副作用を軽減させることができるからです。
主治医の先生に事前に説明しておかないと、なぜ治療の効果が上がったのか、なぜ副作用が少ないのか、などといった疑問を主治医の先生が感じる可能性があります。したがって、主治医の先生には、クリニックから、具体的な治療内容の(どのような量のビタミンを投与しているなど)資料を提供します。
ビタミンCの投与が再発を予防したという症例のデータはまだ多くありません。ただ、概念的には、再発の予防に十分役立つ治療法だと思います。
がんそのものはなくならなくても、全身状態や栄養状態の悪化を遅らせることはできます。そういう意味での効果は、必ずあります。実際にアメリカの症例でも、余命6ヶ月と言われていた乳がんの患者さんが、この治療だけで7年間元気にされているケースもあります。
基本的に食事に関しての制限はありません。やってはいけないこととしては、多量の飲酒、長時間の入浴、激しい運動などです。
他の病気を合併していて制限されていることがなければ、何を食べても結構ですし、運動も基本的に制限はありません。
基本的に、ビタミンCそのものに副作用というものはないと考えてよいのですが、高濃度ビタミンC点滴療法では、ごくまれに以下のような副作用が出ることがあります。
(1)点滴刺入部位、あるいは血管に沿った痛み
これは比較的多く見られます。ビタミンCの量や点滴の速度、血管の状態などが関係します。大量のビタミンC点滴は浸透圧が高いため、痛みの原因となります。こういった条件で起こる痛みに対しては、温めたり、点滴の速度をゆっくりにしたり、点滴の中にマグネシウムを加えることで対処します。また、点滴という行為に伴う、針を刺すことによる痛みは、普通の点滴と同程度にあります。通常、採血をするのと同じ太さの針を用いますので、特別に痛みが強いわけではありません。
(2)吐き気や頭痛など
ときどき見られる副作用ですが、点滴の速度や、患者さんの全身状態などによります。点滴の速度をゆっくりするなどして対応します。
(3)眠気、ボーっとする
比較的よく見られる症状で、おもにビタミンCの抗ヒスタミン作用によると考えられています。花粉症などアレルギーの薬を飲んだら運転をしないでくださいと注意されるのは、そういう薬の抗ヒスタミン作用が眠気を誘うためです。ビタミンCの点滴も、それと同じ作用が出ることがあります。ですから、ビタミンCはアレルギーにも効くのです。
(4)低血糖
低血糖は、ビタミンCとブドウ糖の構造が非常によく似ているために起こります。ビタミンCが点滴によって入ってきたときに、体が、ブドウ糖が入ってきたと勘違いするわけです。そのため、インスリンというホルモンが血糖を下げるために出て、低血糖になってしまいます。これは点滴が始まって5〜10分以内に起こることが多いのです。私のクリニックでは、低血糖を一例だけ経験しています。低血糖を防ぐために、患者さんには、点滴前には必ず食事を摂るようにお願いしています。
また、問題なのは、測定した血糖値によってインスリンを注射する量を決める糖尿病患者さんの場合です。糖尿病で血糖値を自分で測定する方がいらっしゃいますが、その際に用いる簡易血糖測定器(酵素電極法によるもの)も、ビタミンCをブドウ糖と勘違いして、本来の血糖値よりも高い数値が出してしまうことがあるからです。たとえば、本当の血糖値が150ぐらいでも250などと出してしまうことがあるのです。ビタミンCをブドウ糖と間違えてみかけ上高く出ている値を信じて、必要以上にインスリンを注射してしまい、逆に低血糖になるという心配があります。これは、糖尿病で血糖値を測定している人に限っての注意事項になりますが、ビタミンCの点滴後9時間ぐらいはそういう傾向があると言われていますのでご注意ください
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(5)尿路結石
ビタミンCを大量に飲んだり点滴したりすると尿路結石が多くなると言われることがあります。論文で報告されたものに、シュウ酸カルシウム結石による両側尿管結石により尿管閉塞を起こした例がありますが、ビタミンC大量点滴を行っている方に特別尿路結石が多いということはありません。私たちのクリニックでも、高濃度ビタミンC点滴療法を受けていて、結石が多くみられるかというと、これまで一例もありません。
結石については、もともとの素質によることが大きいと私は思います。この点滴を受けたために異常に尿路結石の頻度が多くなるなどということはないと思いますが、高浸透圧の点滴で脱水になりやすいので、もともと結石の既往がある方は、特に、水分補給は十分行う必要があります
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(6)低カルシウム血症
ビタミンCにはカルシウムを体外に出してしまう働きがあり、そのために低カルシウム血症を起こし、身体が震えるなどの症状がでることがまれにあります。このような場合、点滴内にマグネシウムを加えますが、重症の場合はカルシウムの注射することで対処します。
(7)溶血
第一章の点滴前の検査の項でG6PDとい特殊な酵素を調べると述べたのはこの副作用を防ぐためです。溶血とは、簡単に言うと赤血球が壊れてしまう状態のことです。G6PDという酵素が欠損している人に限って起こるのですが、この酵素欠損は人種に偏りがありアフリカや地中海の周辺に住んでいる人種にほぼ集中して、日本人には非常に稀ですから、まず心配はありません。しかしながら、場合によっては命に関わるような副作用ではありますので、ビタミンCを25g以上投与する場合は、事前の検査が必要です。
(8)鉄過剰
ビタミンCは腸からの鉄の吸収を促進するため、鉄過剰になる可能性があります。ビタミンC大量点滴療法中は、定期的に鉄代謝に関する検査をする必要があります。
(9)有痛性の皮下出血
頻度は多くありませんが、高濃度ビタミンC点滴療法に比較的特徴的な副作用かもしれません。私どものクリニックでは、高濃度ビタミン点滴療法5000件以上のうち3件経験しています。
それらの患者さんたちのがん種は前立腺がん、肝臓がん・胸腺がんで、いずれにも共通しているのは、血小板数・凝固系検査など出血に関係する検査の異常は認められないこと、出現したタイミングは、すでに20回以上の点滴を経験していて投与量は50〜75gであること、出血部位が穿刺と対側の母指球筋・前腕内側・母指であることなどです。3例ともその後10回以上点滴を行っていますが、有痛性の皮下出血は起こっていません。この出血が起こるまで要した時間は、早い例では、点滴開始後15分で痛みを訴え、その後に出血部位が青あざのようになってきました。ただし、それが重篤かと言われればそのようなことはなく、痛みはあるものの、全例2、3日以内には回復しています。詳細なメカニズムは不明ですが、潜在的にあった打ち身のような場所に過酸化水素によるダメージが加わって起こるのかもしれません。いずれにしても、一般的な血液検査データ上は、明らかな異常は認められません。
また、次のような方は、ビタミンC大量点滴療法を受けることができません。
ビタミンC大量点滴行う場合、短時間に500ml以上の水分が体内に入ります。また、点滴液のph調節のため、重炭酸ナトリウムが添加されています。そのため、うっ血性心不全、腹水、著明な浮腫のように水分過剰、ナトリウム過剰によって病状の悪化を来す恐れのある場合には、この点滴を受けることができないこともあります。
三番町ごきげんクリニック
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